北鎌尾根

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喜作新道から

山 行 日 程 2011年9月14日(水)〜17日(土)
天   候 第1〜3日目  快晴
最終日      雨
同 行 者 単独

第1日目

 連休出発の予定であったけれども諸般の事情があって急遽出発することになりました。
 今回のルートは、
   『中房温泉〜燕山荘〜大天井ヒュッテ〜北鎌沢出合〜北鎌尾根経由槍ヶ岳〜西岳〜大天井岳〜燕岳〜中房温泉』
 と3泊4日のテント泊まりでぐるっと周る計画です。
 14日早朝5時に中房温泉下にある市営駐車場に到着。週末となれば満車で路上駐車が多いというこの場所も週の中日とあって空いていて助かりました。
 準備を整えてちょうど5時30分に出発。駐車場からアスファルト道を歩いて10分で中房温泉登山口に到着です。
 本日第1日目の行程は喜作新道を使って大天井ヒュッテを少し進んだところから貧乏沢を下り北鎌沢出合まで、計画時間は休憩を含まず9時間の予定です。
 ここ中房温泉から今回の縦走が始まります。登山届けを出して5時45分に出発、まずは燕山荘を目指しますが所要時間は4時間10分(昭文社の地図)です。

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「市営駐車場」 「中房温泉登山口」

 中房温泉横から合戦尾根を登っていきます。尾根は樹林帯で最初は尾根の北斜面をつづら折れに登っていきます。17kgのザックが肩にくい込みます。
 樹林帯の中の結構な斜面の登山道を30分ほど登ると穏やかになり第1ベンチに到着です。これで支尾根に乗った様ですが主尾根はもう少し先です。3人ほど休憩している人がいますがまだ登りはじめたばかりなので通過することにします。

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「登山道の始まり」 「雰囲気の良い登山道」

 少し穏やかになった斜面を登っていると急に前方が開けて平坦な場所にやってきました。P1842、第2ベンチに到着です。
 中房温泉から1.7kmとあり燕山荘までは3.8kmと書いてあります。数人の人が休憩していますが、尾根が緩やかになったので歩きやすいしこのまま通過することにしました。
 登山道はよく整備されていて所どころ階段も取り付けられています。順調に高度を稼いでいるとまたまたベンチが出てきました。第3ベンチです。
 中房温泉から2.7km、燕山荘まで2.8kmと書いてありますのでほぼ中間点ということになります。時刻は7時12分、出発して約2時間経過していますがそんなに疲れていないのでこのまま通過することにします。ここの標高は2000m、550m登ってきました。燕山荘は2700m、あと700mの登りです。
 第3ベンチから30分ほど登ると再びベンチが現れてきました。第3ベンチから400mしか歩いていないのにまたベンチかと思ってふと標識を見ると「富士見ベンチ」と書いてあります。木々の間から富士山が見えるのかと思って見てみますが富士山は霞みで全く見えていません。しかし、鳳凰三山や、甲斐駒ヶ岳、北岳が霞の中にうっすらと見えました。

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「第2ベンチ」 「富士見ベンチから南アルプスがうっすらと」

 富士見ベンチで立ったまま南アルプスを眺めていると結構休憩になりました。先を急ぎましょう。
 富士見ベンチを過ぎてモコモコとした岩のところを過ぎると「合戦小屋まで7分」の標識。しばらく登っていると合戦小屋に到着、中房温泉から2時間0分でした。小屋に到着したときはちょうどヘリの荷揚げをやっていました。
 登山者は誰もいなくて私一人。当然有名なスイカ売りなどしていません。お茶を飲んで少し休憩です。
 10分ほど休憩して出発です。小屋の前を通過しようとすると小屋の前に彫物が置いてあります。帰った後で調べてみるとこの鬼は「魏石鬼」だそうで、桓武天皇の時代に中房温泉・有明山に魏石鬼がすんでいたそうで、自らを八面大王と称し妖術を使い、里に出ては財宝、婦女掠奪し、山野に出て社寺仏閣を破壊し狼藉三昧にの明け暮れていたそうです。そこで坂の上田村麻呂、山の観音堂に願をかけると霊夢を授り「三十三の山鳥の尾で作った矢を使えば」と。それで矢村の矢助という人がこの尾を献上して矢をつくりついに中房川上流の谷間で大合戦となり魏石鬼を討ち果たしたそうで、合戦尾根の由来にもなっているそうです。

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「合戦小屋に到着」 「魏石鬼」

 合戦小屋から燕山荘までの所要時間は1時間0分です。
 合戦尾根からの登山道はこれまでと違って幅も狭く山道に変わってきました。周りの木々も低くなり笹なども出てきました。
 小屋から出発して尾根を10分ほど登ると表銀座の尾根の上に槍の穂先が見えました。何と遠いのでしょうか。たどり着けるか不安が過ぎりました。
 高度が上がるにつれて森林限界が近くなったのか、ダケカンバも少なくなり笹が多くなってきました。
 合戦小屋からちょっとした斜面を登りきると尾根は平坦となり眺望が開けました。右前方を見ますと燕岳が見えています。

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「尾根の向こうに槍の穂先。左のピークは大天井岳」 「燕岳が見えた」

 尾根の正面を見上げると赤い屋根が見えています。燕山荘です。こうみるとまだまだ遠く標高も高く見えます。今日の目的地はずっと先、急ぎましょう。
 ここからの登山道は尾根の北側についていて燕山荘に向けて真っ直ぐに伸びています。ですから尾根の勾配と同じ調子でぐいぐい登っていきます。そして9時24分に燕山荘に到着です。中房温泉からの所要時間は3時間45分でした。
 山荘の前のテラスのベンチからは裏銀座の山並みが一望です。2年前に歩いた稜線を目の前に見ることの嬉しさはこの上ありません。
 生ビールで一息つきます。

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「尾根の先に燕山荘」 「燕山荘に到着」

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「裏銀座の山並み」

 燕岳はここから往復55分となっています。しかし、今日の北鎌沢出合到着予定は16時なので1分1秒がとても大事な時間なので、燕岳は下山時に登ることにして先を急ぎます。
 ここから喜作新道が始まります。表銀座と呼ばれる稜線はほぼ水平に走っているのでとても歩きやすく疲れません。順調にコースを進んでいきます。
 稜線は東からガスが現れて西に流れていますので、喜作新道を南に向かって歩いているときに本来見えるはずの槍ヶ岳が全く見えません。
 よく見えている裏銀座を見ながら歩いているとロープが張ってある場所にやってきました。よく見れば砂礫の上に黄色くなったコマクサの葉があちこちに点在しています。ここが有名なコマクサの場所のようです。
 咲いているのは無いかと見回しますが咲いているものはのは有りませんでした。そして顔を上げた瞬間それは目に飛び込んできました。何と屹立した山でしょうか。しばらく見ていると再びガスの中に消えていきました。

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「大天井ヒュッテ目指して喜作新道のはじまり」 「ガスの中に姿を現した槍ヶ岳」

 喜作新道を南に歩いていると前方に屹立している岩群が見えてきました。岩の隙間を抜けていくと標識に「蛙岩」と有ります。この時どこに蛙がいるのかわからず時間も無いので諦めて通過しましたが、4日目の帰りに良くよく観察すると蛙がいるのを見つけました。でも、私には熊さんの顔にしか見えません・・・
 蛙岩を抜けて20分ほど歩くと小高い場所にやってきました。標識には「大下りの肩」と書いてあります。ここから標高を100m下がります。

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「蛙岩」 「大下りの肩に到着」

 大下りを下るとこれまで稜線の西側だった登山道も一旦東側に変わります。西側と違って東側はガスの発生地帯なので涼しい風が吹き上げてきてとても気持ちが良いです。またダケカンバ、ナナカマドなどの木々も豊富です。
 15分ほど東側の木々の中の登山道を歩くと稜線を超えて再び西側の登山道となります。すると、目の前に再び北鎌尾根が姿を現しました。何と威圧的なのでしょうか。
 それとは対照的に穏やかな喜作新道。

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「西の登山道に比べ木々の多い東側」 「明日歩く尾根」

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「穏やかな喜作新道」

 右前方にガスに隠れたり現れたする北鎌尾根を見ながら穏やかな喜作新道を歩いていると大天井岳の分岐に到着です。時刻は12時丁度です。
 ここを左に登れば大天荘へ、真っ直ぐ進めば大天井ヒュッテです。1分1秒が大事なので、大天井岳も下山時に登ることにしてトラバース路を選択します。
 ここから40分も歩けばヒュッテに到着です。
 ここのトラバース路は最初は穏やかなトラバース路です。ここで私は大事なことを一つ忘れていました。喜作さんのレリーフです。全く頭から消えていました。

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「大天井への分岐」 「最初は穏やかなトラバース路」

 穏やかなトラバース路を進んでいるとだんだんと岩場となり険しくなてきました。標識も「滑落注意(CAUTION SLIPPERY SURFACE)」とあり、外国人がよく来ることを表しています。
 鎖場を通過し岩場を通過し、分岐からコースタイムで大天井ヒュッテに到着です。

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「CAUTION!」 「ヒュッテに到着」

 ここで大休止です。
 喉が渇いたので刺激の強いビールは止めにして缶チューハイにしました。注文すると受けてくれた方はヒュッテの主人「小池さん」でした。
 この方は年に2〜3回北鎌を登りヒュッテのHPでその状況を発信してくださっています。せっかくなのでアドバイスを願うと、
 『独標までは1本道なので問題ありませんが、そこから先は必ず稜線を歩いてください。いろんな巻道が出来ていますが、行き止まりの巻道もあるのでどれが良いか悪いか判りません。確実なのは稜線です。』 ということでした。
 喉越しの良いうどんを頂いて北鎌沢出合に向けて出発です。時刻は13時20分。
 貧乏沢の入り口はヒュッテから南に下った最低鞍部に有ります。ヒュッテから20分ほど歩くと入り口に貧乏沢入り口のプレートがありました。

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「ヒュッテを出発」
(生きて戻れるのかなぁ?)
「貧乏沢入り口」

 尾根を越えるとそこが貧乏沢の始まりです。
 貧乏沢は基本的に沢を下ってきますが、所どころ段差が大きなところがあるのでそのときには左岸に必ず巻道があります。基本は沢を下っていきます。ここでも、巻道のような雰囲気の場所というか、巻道ではないのに巻道に見えてしまうところが沢山ありますので気をつけて下さい。
 これ以降は特に説明をする必要は殆どありません。写真を見てください。

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「尾根を越えると貧乏沢へ」 「770mの下りの始まり」

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「尾根を振り返る」 「ガレ場が時々」

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「樹林帯に入る」 「振り返る」

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「徐々に沢らしくなってくる」 「どんどん下る」

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「右から水のある沢と合流」 「一直線」

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「ヒュッテが取り付けてくれたたロープ」
(このロープが無ければ岩の上をすべるしかありませんでした。感謝!)
「天井沢に到着」
(貧乏沢入り口から1時間20分)

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「天井沢を遡る」 「右の林の先が出合」

 北鎌沢出合に到着したのは既に16時30分で、ぎりぎりの時間でした。
 出合にはツェルトが3張りです。出合は水が地下に浸透してしまっていて水場がありません。でも、水場のところでテントを張りたいと思いながら耳を澄ましていると水の流れている音がしています。どうも北鎌沢を少し登った所のようです。テントを晴れるスペースが有るかどうか判りませんがとりあえず登ってみることにしました。
 そうすると、流末の左岸に絶好のテン場を発見。今日の寝床が決まりました。
 ヒュッテで買った缶チューハイで喉を潤し食事を終えて明日に備えて就寝です。

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「北鎌沢出合に到着」 「北鎌沢の水が伏流する末端に設営」

 順調な行程でした。
 今日の所要時間休憩含めて11時間20分、歩行距離18km、中房温泉から1375m登って980m下りました。
 明日は、1350m登ります。


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